御室マジック

ある方から御室桜の「ミニチュア版」を頂いた。
御室桜は御室仁和寺特有の桜で、
開花時期はソメイヨシノと八重桜の間ぐらい。これからだ。

実はこの盆栽のような御室桜は、嵐電御室駅の前にあるお店でしか売っていない。
昔から御室で庭師の仕事を続けてこられたところなので
地元の桜を育てるノウハウをお持ちなのだと思う。

この桜をぼくは地植えにしようとして失敗し、枯らしたことがある。
またチャンスをいただいたわけだ。

桜というのはとてもデリケートで、枝を折っただけで枯れることもあるし
それこそ「桜守」が必要なのだ。
特に苗のうちは水やりや病気に細心の注意が必要だ。

花が終わったら、今回は地植えにせず、鉢で育てていこうと思う。
その際、用土と鉢の大きさが問題になる。
いきなり大きな鉢に移してはいけない。大きく育つどころか枯れてしまうおそれもある。
ほんの少し、本当に一回りだけ大きい鉢に移す。

そして用土だ。
お店のお婆さんはとにかく「なんでもかんでも赤玉土」という人で
ぼくはそのとおりに赤玉土だけで育てようとして枯らしたのだった。
絶対、土に問題があるとおもっていたのだが
そのお婆さんも昨年亡くなってしまった。

だけど、もしお婆さんが元気で、今回、改めて育て方を訊いたとしても
「あかだまだけでよろし」というに違いない。

現在のお店の人たちに訊いてみた。
すると
赤玉土だけでいいんですう」
訊いた私がアホだった。
お婆さんの指示は徹底して貫かれていた。

手にした鉢も赤玉土しか入っていない。そしてちゃんと咲いているんだから不思議だ。
赤玉だけなんて誰にいっても信じてもらえないのだが…。
「御室マジック」を信じてみるか。